2021年8月におこなわれた2020東京オリンピック・パラリンピックの関連の建設等による建設需要の急激な拡大への対応のため、2023年3月31日までの期限付きで国土交通省により外国人建設就労者受入事業在留特別許可がされることとなりました。
この制度により、外国人建設就労者は建設分野の技能実習修了後も引き続き日本に在留することが可能になりました。
また、2020年度までに限りますが、技能実習を修了していれば自国に帰った後、再来日して雇用関係の下で建設業務に従事することも可能となったのです。
概要
許可の対象となる職種や条件は以下のとおりです。
1.対象となる職種・作業
建設関係の職種や作業に限定されます。
2.許可の条件
(1)外国人建設就労者
素行が良く、約2年間の建設分野技能実習を無事に終了した人。
(2)日本に在留できる期間
①技能実習中の場合
3年の技能実習の終了後、日本にいたままで2年間特定活動として建設関係の仕事への従事が可能です。
②既に帰国した場合
帰国している期間が1年未満の場合は2年間建設関係の仕事ができます。また、帰国している期間が1年以上の場合は3年間建設関係の仕事が可能です。
3.特定監理団体の受け入れ
外国人労働者は監理団体で受け入れられて技能実習の監理をすることになっています。 しかし、建設就労者受入事業では国土交通大臣による認定を受けた特定監理団体以外は受入れができません。
なお、特定監理団体は過去の実績から特に優良な団体とされています。
必要な書類
在留資格認定証明書交付申請の際、以下の書類を特定監理団体などは最寄りの地方出入国在留管理局へ提出しなければなりません。
1 | 在留資格認定証明書交付申請書 | |
2 | 写真 | 縦4cm×横3cm |
3 | 返信用封筒 | 宛先を記入した定形封筒に送料分の切手を貼付 |
4 | 適正監理計画認定証のコピー | |
5 | 雇用契約書のコピー | |
6 | 帰国後、日本の技能実習で習得した技術等を要する 業務に従事していたことを証明するもの | |
7 | 特定監理団体を説明する文書等 | |
8 | 受入建設企業を説明する文書等 | |
9 | 外国人建設就労者の履歴書 | |
10 | 外国人建設就労者の身分を証明するもの | パスポートの写しなど |
11 | 申請取次者の身分を証明するもの | 取次者による申請の場合 |
申請の流れ
受入建設企業と特定監理団体がおこなう処理の流れについて説明します。
1.入国前の手続き
事前準備の後、まずは国土交通省に特定監理団体より認定申請がおこなわれます。
続いて、特定監理団体より地方出入国在留管理局へ認定されたことの報告がされます。
その後、特定監理団体の適正管理推進協議会へ加入がおこなわれるのです。
そして、国土交通省に対して適正管理計画の認定の申請がされます。
計画が認定されたら、特定監理団体より地方出入国在留管理へ報告がおこなわれるのです。
2.入国してからの手続き
地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付の申請がされます。
3.受入報告
適正管理推進協議会に対して、外国人建設労働者受入の報告がされます。
4.定期監査
3カ月に1回以上の監査がおこなわれます。
監査の結果報告は、適正監理推進協議会と地方出入国管理局および国土交通省に対しておこなわれるのです。
5.退職報告
適正管理推進協議会に対して外国人建設就労者の業務が完了したことの報告がおこなわれます。
6.帰国報告
適正監理推進協議会と地方出入国管理局および国土交通省に対して、特定監理団体より外国人建設就労者が帰国したことの報告がおこなわれます。
メリット
外国人建設就労者受入事業在留業特別許可には以下のメリットがあります。
1.日本で約2年間の技能実習を修了しているので、受入る外国人材は即戦力となります。
2.受入る建設企業の常勤社員数と同じ人数の外国人の受入が可能なため、需要に合わせた対応が可能です。
デメリット
一方、デメリットとしては以下が考えられます。
1.外国人労働者も日本語がわからないため、指示が正しく伝わらず労災に発生する可能性があります。そのためにも安全衛生教育などの対策を講じる必要があるでしょう。
2.文化の違いなどのため職場に溶けこめずに孤独を感じる外国人労働者もいます。そのためにも積極的に意思疎通をはかるとともに、働きやすい環境整備が必要です。
注意点
注意すべき点として、技能実習期間中の外国人就労者のおこないがよかったことが受入の条件に加えられる点があります。
受入建設企業と特定監理団体は労働者に素行の管理を十分におこなうようにしましょう。
さらに、特定監理団体は外国人の受入れや就労に関して不正がなかったことや、過去5年間のうち2年以上技能実習が適正に監理されていたことが認定の条件とされます。
健全な手続きや監理がおこなわれるよう、注意をはらうことが必要でしょう。
司法書士・行政書士友綱事務所では外国人建設就労者受入事業在留特別許可に関するお手続きのサポートをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
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